岩の物語

在る所に大きな岩が在りました。岩は大変な力持ちでした。岩はとても優しい気持ちを持っていました。

ある時、村の人が岩に言いました。

「お願いですから、家の礎に成って下さい。」

岩は快く承諾しました。

しかし村の人は家を建ててしまうとすっかり岩の事を忘れてしまいました。時はたち、岩は思いました。寂しいな僕は人の為に目立たない所で支えているのに誰も思い出してくれない。

岩には、一人友人がいました。

それは雨のときに床下に流れ込んでくる水でした。

岩は水に言いました。

「僕は水さんの様に、自由にいろんな所に行きたいし、人に感謝されたいな・・。」

すると水は言いました。

「そうなんだ。じゃあこうしよう。

今度雨が降った時僕は岩さんの割れ目に入る。

その後寒い冬の朝僕は氷になって君をばらばらにするよ。

そして僕と一緒に清水に流れ込んで川にいこう。」

時が経ち水のいったとおり寒い冬の朝水は氷になりました。あっというまに岩はばらばらに成ってしまいました。細かい砂のようになった岩は水に携えられて、川に行きました。岩は川を下るうちに角が取れて綺麗な石になっていました。

ある日の朝浜辺に人がとおりかかりました。すると きらりと光るものが目に入りました。なんとそれはダイヤモンドの原石でした。実は岩はダイヤモンドの粒を含んでいたのです。原石となった岩は、人間の手に渡るとたくさん頭を削られてく王冠になりました。岩は、王様の頭の上にいると口々に王様の王冠についたダイヤモンドを褒めました。

岩は初めは、山村の家の基礎でしたが今は王様の王冠になりました。

その時時は千年経っていました。岩は思いました。

「長かったな。でも今になって思うと一日のようだったな。そう岩は、考えると満ち足りた気持ちになりました。」



今井英人の物語集

人生で辛い時にフッと心に浮かんだ物語です。

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